仕事で英文メールを書かないといけないという人は多いだろう。本題にさっと入りたいのだが、書き出しで苦戦をしている人は意外に多いのではないか。書き出しの言い回しをググっているうちに、10分〜15分時間を使ってしまったという経験は誰にでもあるだろう。だが、「英文メールの書き出し」というのは難しいことではない。シーンごとに鉄板の型があるため、その型さえ覚えてしまえば書き出しは10秒ですますことができる。
私は現在アメリカに住み、7年以上アメリカの現地企業で仕事をしている。最近は書き出しで時間をかけることはまずない。同僚のアメリカ人が送付したメールから使えそうな鉄板の言い回しを抜粋してストックしているからだ。この「10秒で仕上げる英文メールの書き出し」シリーズでは、私の使っている鉄板表現をシーンごとに紹介し、読者の英文メールを書く時間の大幅な削減をお手伝いしたい。
進捗・状況を共有する
会議で自分が担当になったアクションの進捗報告をする、「いつまでに終わるんだ」とせっつかれていることの状況を共有する、といったことに私たちは日々追われている。毎日全く新しいことをするなんて人は殆どいなく、大抵私たちは抱えている案件を前に進めることが日々の仕事の中心となっている。なので、実施した会議の議論を前に進めるために、現状を情報共有してステークホルダーを自分の事案につなぎとめておくために、そして「あれはどうなっているんだ?」というような問い合わせに追われないように、進捗や状況を共有するのは大事なことで、コントロールのききにくい英語でのやり取りでは、その必要性はより強くなる。今回は進捗や状況を共有するメールで使える書き出し、並びに文中の表現を紹介したい。
Want to provide a quick update on 〜(〜につきまして簡単に状況を報告します)
<例文>
Want to provide a quick update on the resolution we came to for addressing the issue we discussed.
懸案の問題に対して、私たちの講じた対策につきまして、取り急ぎ報告させて頂きます。
進捗や状況を共有するための表現をいくつか紹介しようと思ったのだが、いくつか派生系はあれど、“update on”が鉄板すぎて、これ以外にあまり紹介できる表現がなかった。なので、書き出しの表現としては今回はこれ一本でいきたい。まずは、王道の表現を説明し、後でいくつかのバリエーションも共有する。
上の例文では主語を省いているが、“I want to provide a quick update on“というように、きちんと主語をつけることももちろん可能だ。が、実際は主語を省いてしまう場合の方が圧倒的に多い。なので、主語なしの方がこなれた感じに、私には見える。
また、文法的な意味合いは、よくわからないのだが、“Wanted to provide a quick update”というように、過去形にする場合のほうが多いかもしれない。同僚にどうして過去形にするのか、聞いてみたが的を得た回答というのはあまり得られなかった。”I have wanted to provide a quick update”の省略で、現在完了から派生しているのか、と聞いたところ、「多分、それだ!」と言われたが、真偽のほどは定かではない。が、多くの人がそうしているので、過去形でも全く違和感はない。
表現の仕方にいくつかバリエーションがあるので、以下に紹介する。微妙な差なので、全部覚える必要はないが、あわせて進捗報告の際に使える細かな表現も紹介していきたい。
Just wanted to update you on what we know for now and will continue to share updates as things develop.
現時点でわかっていることを取り急ぎ共有させて頂きます。また、進捗に応じて引き続き状況を共有していきたいと思います。
“Update”を目的語ではなくて、動詞にしたバージョン。”Just”そのものにそんなに意味はないので省いてしまってもいいが、「取り急ぎ」というニュアンスがでる気がする。“as things develop”というのは「進捗に応じて」と意訳しているが、「今後もこの件進めていくからね!」という前向きな雰囲気が醸し出せる。
A quick update on where we are with this exercise as of tonight.
今晩時点で、本件についての現状を手短に報告致します。
これは主語どころか動詞も省いてしまったパターンだが、これもよくある形。“Just a quick update.”と冒頭に書いて、その後は状況報告をバーっと書いていく場合も結構多い。“where we are”とか”where we stand”というのも「現状」という意味でよく使う鉄板の表現なので、覚えておくことを進める。”the current situation”とかでもいいのだが、個人的には”where we are”の方がシュッとした感じはする。
Keep you posted on 〜 (〜につきまして引き続き情報共有をさせて頂きます)
<例文>
Keep you posted on where things stand.
今後も状況につきまして引き続き情報を共有させて頂きます。
冒頭の表現を紹介したので、ついでに締めの表現も共有したい。“Keep you posted on”は、状況報告メールの締め括りとして鉄板の表現だ。”on 〜”とかつけて長くせずに、“Will keep you posted”とズバッと一言だけつけるのもよくあるし、”Posted”の代わりに“Keep you updated”とすることもできる。
状況に応じた用例をいくつか以下紹介するので参考にして頂きたい。
- I wanted to keep you posted on the live progress.
進捗を常時共有させて頂きます。 - I will keep you posted on any key points that come up during our discussions.
今後の検討の結果、提起された重要事項については共有させて頂きます。 - I will keep you posted on what I hear from the leadership team.
上層部から今後あるフィードバックを共有させて頂きます。
まとめ
進捗状況を報告するメールの書き出しと締めの表現として、以下の2つの表現と、その派生系を今回は紹介させて頂いた。少しでも参考になると幸いだ。
- Want to provide a quick update on 〜(〜につきまして簡単に状況を報告します)
- Keep you posted on 〜 (〜につきまして引き続き情報共有をさせて頂きます)
なお、例文の殆どは私が実際にアメリカ人から受信したメールからの抜粋だ。私はIT企業のファイナンスやセールスオペレーションでの経験が長いので、同じ職種の方は、ほぼ丸パクリできるケースもあると思うので、お役に立てれば幸いである。
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